MENU

【採る側の計算】第二新卒が未経験の職種に移るなら3年以内 | 法律の根拠,求人票の読み方も

【採る側の計算】第二新卒が未経験の職種に移るなら3年以内 | 法律の根拠,求人票の読み方も

第二新卒で、職種を変えたい。未経験でどの職種なら採ってもらえるのか、と検索したはずです。

「営業なら未経験でも入れる」「ITは人手不足だから未経験歓迎が多い」。職種の名前を並べた記事がいくらでも出てきます。一方で「第二新卒で職種まで変えるのは甘い」とも言われる。どちらを信じればいいのでしょうか。職種の名前を見ている限り、答えは出ません。僕は職種名で決めていなかったからです。

僕はいまも人を採る側にいます。経営者として8年、採用の最終決裁をしてきました。その前に事業会社で採用担当を2年。未経験の職種に応募してきた第二新卒の書類も、採るかどうかを決める側で読んでいます。面接した人数は、覚えていないけれど500人くらい。

採る側から書きます。「未経験可」の求人がなぜ存在するのか。その計算がわかれば、どの職種に出すかは自分で決められます。

※ 統計は厚生労働省の公表資料、法令は e-Gov 法令検索の原文を2026年9月12日に確認しました。実務の記述は僕が関わってきた採用のものです。

目次

職種を変えたい第二新卒は、珍しくない

まず数字から。厚生労働省が、学校を出て働いている15〜34歳に聞いた調査がある。

初めて勤務した会社をやめた主な理由(令和5年 若年者雇用実態調査、3つまでの複数回答)。労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった 28.5%/人間関係がよくなかった 26.4%/賃金の条件がよくなかった 21.8%/仕事が自分に合わない 21.7%。20〜24歳に限ると「仕事が自分に合わない」は27.8%まで上がる。

20代前半で辞めた人の4人に1人以上が、仕事の中身を理由に挙げている。職種を変えたい。そう考えるのは自然な流れです。

別の統計も置いておきます。大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した割合は33.8%。若い正社員のうち「転職したいと思っている」は31.2%で、20〜24歳では35.0%といちばん高い。あなたと同じ動きをする人は、毎年まとまった数います。

採る側も、この数字を知っている。問題は、「未経験可」の枠がどういう計算で出ているかです。

「未経験可」の求人は、なぜ存在するのか

未経験の人を採ると、会社はいちど損をします。入社してから戦力になるまで、給料を払いながら教える期間がある。経験者なら、その期間が短い。

それでも未経験可の求人が出るのはなぜでしょうか。教える費用を、あとから回収できると計算しているからです。採る側の頭の中は、この2つの掛け合わせ。

  1. 教育にかかる期間 — 戦力になるまで何か月、給料を払い続けるか
  2. 辞めずに残る確率 — 教えた費用を回収し終える前に、辞められないか

1つめが短い職種ほど、未経験を採りやすい。2つめが高い人ほど採りやすい。「未経験可」は、職種の性質と、応募者が残りそうな度合いの両方で決まります。職種名は、この計算の入力の1つでしかない。

2つめの「残る確率」を、採る側は統計で見ています。大卒の3年以内離職率33.8%を、事業所の規模で割るとこうなる。5人未満の事業所で57.5%、1,000人以上で27.0%。小さい会社ほど、教えた人が3年以内に辞める前提で計画を立てざるを得ない。だから未経験を採るときの計算も、会社の規模で変わる。規模で何が変わるかは第二新卒で大手は無理なのかに書きました。

では、なぜ第二新卒に未経験可が多いのか。若いほど、回収に使える年数が長いからです。教える期間が長くても、そのあと長く働いてくれるなら、会社は元が取れる。この「若い人を、長く働く前提で採る」という形には、法律の名前が付いている。

法律の根拠。「未経験歓迎・若手」の求人は年齢制限の例外3号イ

「未経験歓迎」と「若手活躍中」。この2つが同じ求人票に並んでいるのを、見たことがあるはずです。並んでいるのは偶然でしょうか。法律が、そう書かせている。

労働施策総合推進法9条。事業主は、労働者の募集及び採用について、原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定めています。例外は同法施行規則1条の3第1項で6つに限られ、そのうち3号イが「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」。条件は、職業経験を不問とすることです。

順番はこうです。

  1. 会社は原則、年齢で募集を絞れない
  2. 若い人を長く育てたい会社は、例外の3号イを使う
  3. 3号イを使うには、職業経験を問わないと決めなければいけない
  4. だから「若手歓迎」の求人は、「未経験可」の形を取る

「未経験可」は優しさで書かれているとは限りません。若い人を採るための、法律上の条件です。経験者が欲しいなら年齢を書かずに「社会人経験3年以上」。若手が欲しいなら経験を問わずに「未経験可」。両方は書けません。

例外の6つを並べた表と、年齢と経験年数が両方書いてある求人の扱いは【線を引くのは会社】第二新卒はいつまでに置いてあります。おさえてほしいのは1つ。未経験可の求人は「若い人を、期間の定めなく、長く育てる」前提で出ている。前の章の「回収の計算」と、法律の形がぴったり重なる。

境目は社会人経験3年。超えると未経験可の枠が減る

実務で見ていた境目は社会人経験3年でした。3年を超えると、要件がポテンシャルから実績に変わる。未経験可の求人そのものが減る。

なぜ3年なのか。採る側の計算に戻ると見えてくる。

社会人3年を超えた人を採るとき、会社は「経験者を採る費用」で見ています。教える期間を短く見積もり、入社後すぐに前職の実績を出してもらう前提。そこに未経験の人が来る。計算が合わない。教える費用を見込んでいない枠に、教える必要のある人が来るからです。

3年以内なら、会社はまだ「育てる費用」を見込んでいる。3号イの形で、経験を問わずに募集している。同じ「未経験」でも、3年以内と3年超では、出せる枠の数がまるで違う。

いま、何年目でしょうか?3年目に入っているなら、動くのは早いほうがいい。1年目なら、時間はあります。焦って決める必要はないけれど、3年の線は待ってくれないと思っておいてください。

ここで1つ、近道を書いておきます。「いま、未経験可で開いている職種はどれか」は、求人票を1件ずつ読まなくてもわかります。転職エージェントに1社登録して、そのまま聞けばいい。求職者は無料です。職業安定法32条の3で、手数料は原則として求人者(企業)から受けると定められています。僕が払っていたのは、1人採るたびに60万〜100万円。あなたの側には請求されません。

手数料を払ってまで未経験を採る会社は、回収の計算を済ませています。エージェントが持っている未経験可の求人は、その意味で、育てる前提がはっきりしている。「まだ決めていない」と最初に伝えて構いません。急かされたら、【例文5つ】就活エージェントの断り方の例文で断ってください。

採る側が未経験の書類で見ていたのは、2つ

未経験の職種に応募してきた第二新卒の書類を、何で通していたと思いますか?職種名で落としたことはありません。見ていたのは2つです。

  1. 前職で何を残したか — 職種が違っても、残したものの型は移る。手順書、数字、引き継ぎ
  2. なぜその職種か — 前職の何が合わなくて、次の職種の何が合うと思っているか

1つめは「教える期間」の見積もりに使う。前職で手順書を作った人は、次の職種でも手順を覚える速さが読める。2つめは「残る確率」に使う。理由が筋になっていれば、次も同じ理由で辞めるとは読みません。2つとも、採る側の計算の入力そのものです。

落としていた書き方 — 「未経験ですが、やる気はあります。一から学びたいと思っています」。前職で何をしたかも、なぜその職種かも書いていない。教える期間も残る確率も読めないので、想像で埋めることになる。

通していた書き方 — 「営業として顧客対応を担当し、問い合わせの多い項目をFAQに起こして営業部で共有した。問い合わせに答える仕事のほうが続けられるとわかったので、カスタマーサポート職を希望している」。残したものが1つ、職種を変える理由が1つ入っている。

2つめが抜けている書類が、とても多い。「未経験」を弱みだと思って隠そうとし、前職に触れずに意欲だけ書く。採る側から見ると、逆です。前職に触れていない書類のほうが、読むものが無い。

落とし方の3つ(退職理由が書いていない・何をやっていたかが分からない・次も同じ理由で辞めそうに読める)は【落としていた3つ】第二新卒の書類が通らない理由に書きました。未経験の応募では、この3つがそのまま「教える期間」と「残る確率」を読む材料になる。中途の書類通過率は15%前後。6〜7社出して1社です。5社落ちても、まだ母数のうちです。

同じ職種で会社を変えるか、職種ごと変えるか

ここで一度、立ち止まってほしい。辞めたい理由は、職種のせいでしょうか。会社のせいでしょうか。

最初の章の数字に戻ります。辞めた理由の上位3つは労働時間・人間関係・賃金で、「仕事が自分に合わない」は4番目でした。上の3つは、職種を変えなくても解決することがある。同じ職種で会社を変えれば済む話に、未経験の壁を自分で足していないでしょうか?

同じ職種で会社を変える職種を変える
使う枠経験者枠。経験が積み上がるほど、要件を満たす求人が増える未経験可(3号イの形)。社会人3年を超えると減る
急ぐか急がなくていい3年以内が有利
書類で見られるもの前職の実績。数字前職で残したものと、なぜその職種か
辞めた理由が労働時間・人間関係・賃金なら理由と行き先が一致する「なぜその職種か」が埋まらない。弱い
辞めた理由が「仕事が合わない」なら同じ壁が次の会社でも出る理由と行き先が一致する

右の列に進むのは、辞めたい理由が「仕事の中身」のとき。労働時間や人間関係が理由なら、左の列のほうが早くて、書類も通りやすい。職種を変えることは目的でしょうか。それとも、辞めたい理由を消す手段でしょうか。手段なら、消せる方法のうち、いちばん壁の低いものを選んでください。

辞めるかどうかをまだ決めていないなら、確かめる順番を【26卒・入社半年】もう辞めたいときに見る順番に書いています。辞めるかどうかは4番目でした。

未経験可の求人票は、応募資格の欄から読む

「未経験可」と書いてあれば、どれも同じでしょうか?違います。採る側の計算と3号イの形を知っていれば、読む場所は5つに絞れる。

  • 応募資格に「職業経験不問」「未経験可」とあるか — 3号イの形。「業界未経験可」は同じ職種の経験を求めていることがあり、職種を変える人の枠とは別
  • 雇用形態が期間の定めのない正社員か — 3号イは期間の定めのない契約が条件。契約社員の未経験可は、育てる前提の枠とは限らない
  • 研修・教育期間が書いてあるか — 採る側が「教える費用」を見込んでいる証拠。無い未経験可は、入社後すぐの戦力を期待していることがある
  • 年齢と経験年数の両方が書いてあるか — 両方あると、例外の6つに当たらない可能性がある。労働局に相談できる
  • 業務の内容・賃金・労働時間が書いてあるか — 職業安定法5条の3で、募集する側には明示する義務がある。書いていないなら、聞いていい

3つめは、採る側にいるととくに気になる。教える期間を書けない求人は、教える計画が無いことがある。「未経験可」と「即戦力」が同じ求人票にあったら、計算が合っていない。

動く順番。職種を決めるのは3番目

順番を間違えると、職種名だけを追いかけて終わる。採る側の計算にそって並べると、こうなる。

辞めたい理由を1つに絞る

職種のせいか、会社のせいか。前の表で左右を決める

前職で残したものを1つ書き出す

手順書、数字、引き継ぎ。職種が違っても、これが「教える期間」の見積もりに使われる

職種を変える理由を2〜3行にする

前職の何が合わなくて、次の何が合うのか。ここで初めて職種を決める

エージェントに1社登録して、未経験可で開いている職種を聞く

自分で1件ずつ読むより早い。無料。急かされたら断る

求人票の応募資格欄を読んでから、3社出す

職業経験不問か、期間の定めが無いか、研修期間があるか

職種を決めるのは3番目です。1と2を飛ばして職種名から入ると、「なぜその職種か」が書けない書類になる。

4つめには時期も関わります。中途の求人が増えるのは1〜3月、9〜10月、6〜7月。いまが何月でも、次の山までに1〜3を終えておくと、山が来たときに出せます。

そして、在職中に動くほうが書類は通りやすい。空白期間が生まれないからです。体調に問題が無いなら、辞める前に1〜4を済ませてください。

よくある質問

第二新卒で未経験の職種に転職できますか

枠はあります。「未経験可」の求人は、若い人を経験不問で採る法律上の形(年齢制限の例外3号イ)で出ています。実務の境目は社会人経験3年で、超えると未経験可の求人が減ります。

第二新卒で未経験でも採ってもらえる職種はどれですか

職種名で決まっていません。採る側は「教育にかかる期間」と「辞めずに残る確率」で決めていて、教える期間が短い職種ほど未経験可が出やすい。いまどの職種が開いているかは時期と会社で変わるので、エージェントに聞くか、求人票の応募資格欄で確かめてください。

第二新卒で職種を変えるのは何年目までですか

法律に線はありません。僕が見ていた実務では社会人経験3年が境目で、3年を超えると要件がポテンシャルから実績に変わっていました。会社によって異なります。

未経験可と書いてあれば、経験ゼロでも応募していいのですか

応募資格に「職業経験不問」とあれば、経験を問わない前提で募集しています。「業界未経験可」は同じ職種の経験を求めていることがあるので、職種を変える人はそこを読み分けてください。

この記事で確認した資料


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次