第二新卒で応募を始めたのに、書類が返ってこない。あるいは、これから動こうとして「第二新卒の転職は厳しい」と聞き、手が止まっている。そのどちらかだと思います。
「短期離職は不利だ」と言う人がいます。その隣に「第二新卒は歓迎されている」と書く記事もある。どちらを信じればいいのでしょうか? 両方とも、半分だけ合っています。
僕はいまも人を採る側にいます。経営者として8年、採用の最終決裁をしてきました。その前に事業会社で採用担当を2年。第二新卒の書類を落とす判断も、面接に呼ぶ判断も、自分でしています。面接した人数は、覚えていないけれど500人くらい。
採る側から書きます。厳しい場所と厳しくない場所は、はっきり分かれていました。
※ 統計は厚生労働省の公表資料、法令は e-Gov 法令検索の原文を2026年9月12日に確認しました。実務の記述は僕が関わってきた採用のものです。
「厳しい」の正体は、書類の通過率
先に数字を置きます。僕が見ている採用の、書類通過率。
| 応募枠 | 書類通過率 | 母数の中身 |
|---|---|---|
| 新卒(媒体3つ) | 9% | 絞る前の応募 |
| 新卒(媒体1つに絞った後) | 24% | 絞った後の応募 |
| 中途(第二新卒を含む) | 15%前後 | エージェント経由と自社応募の合計 |
15%前後というのは、6〜7社出して1社通る計算です。10社出して全部落ちることも、普通に起きる。
これが「厳しい」の正体でした。第二新卒だけが厳しいのではありません。中途採用そのものが、要件の合う・合わないで決まる割合が大きい。新卒より母数の切り方が細かいので、数字が低く見えます。
5社落ちて、自分に問題があると思っていませんか? そこで結論を出すのは早い。母数が足りていないだけのことが多かった。
では、書類を抜けたあとはどうか? 景色が変わります。面接で短期離職を理由に落とした記憶は、ほとんど無い。厳しいのは入口だけ。ここから先で、どこが厳しくてどこが厳しくないかを切り分けます。
第二新卒は少数派ではない。ライバルは多い
「短期離職は少数派で、目立つから不利」。本当にそうでしょうか? 国の統計を見ると、違う絵が出てきます。
大学卒に限っても、3人に1人が最初の会社を離れている。別の統計でも、大学卒の3年以内離職率は33.8%(令和4年3月卒業者)。採る側は、この数字を前提に採用計画を組んでいます。初職を離れた人の応募が来るのは、想定の内側です。
ここまでは、厳しくない側の話。厳しい側の数字も、同じ調査にあります。
若年正社員のうち、今後「転職したいと思っている」人は31.2%。20〜24歳に限ると35.0%で、年齢層の中でいちばん高い。動こうとしているのは、あなた1人ではない。
同じ枠に、同じような書類が並びます。少数派だから落ちているのではない。似た書類が並ぶから、差がつく。どこで差がつくのかは、次の表で切り分けます。
3か月や半年で辞めた人がどこへ行っているかは【3か月で辞めた人の行き先】新卒の早期離職に書きました。「やめとけ」と言われて迷っている人は、第二新卒はやめとけと言われる根拠も読んでみてください。
採る側が厳しくしているところ、していないところ
ここが本題。上の数字と、僕が実際にしていた判断を、1つの表にまとめました。
| 見られる場所 | 厳しさ | 採る側で実際に起きていたこと |
|---|---|---|
| 書類の通過率 | 厳しい | 15%前後。6〜7社に1社。母数を出さないと始まらない |
| 退職理由の書き方 | 厳しい | 理由が無い・動いた形跡が無い・職務が役職名だけ、で落とす |
| 社会人経験3年超 | 厳しい | 要件がポテンシャルから実績に変わる。未経験可の求人が減る |
| 短期離職そのもの | 厳しくない | 在籍月数だけで落としたことは、ほとんど無い |
| 年齢 | 厳しくない | 募集・採用の年齢制限は原則禁止(労働施策総合推進法9条)。書類で見ていたのは卒業年と在籍年数 |
| 職歴の短さ | 厳しくない | 未経験可の求人は、職業経験を不問にすることが条件(同法施行規則1条の3第1項3号イ) |
| 面接 | 厳しくない | 確かめるのは「同じことが起きたらどうするか」の1点 |
厳しい3つは、全部「書類の段階」の話。厳しくない4つのうち、年齢と職歴の短さは条文で裏が取れます。感覚の話ではない。
下の4行で落ちていると感じていませんか? 短期離職そのもの、年齢、職歴の短さ、面接。そこで落ちたと思っているなら、実際に引っかかったのは別の行です。上の3行のどれかに当たっている。
厳しさは、書類の書き方と動く時期に集中しています。この2つは、あなたの側で変えられます。
年齢と職歴の短さで切るのは、原則として法違反
「若くないと不利」「経験が短すぎる」。この2つの不安は、条文で消せます。
この3号イが、「未経験可」「若手歓迎」の求人の根拠になっています。年齢で若い人を集めたい会社は、経験を問えない。だから、職歴の短さを理由に落とせる求人ではない。逆に「経験3年以上」と書く求人は、年齢で切れない。
求人票を読むとき、この2つは同時に成立しないと覚えておくと早い。例外6つの一覧は【線を引くのは会社】第二新卒はいつまでに載せています。
もう1つ。卒業後3年以内なら、新卒枠も残っています。厚生労働省の指針で、事業主は「既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるように努めること」とされている。努力義務なので受け付けない会社もありますが、新卒採用ページの応募資格に「卒業後3年以内の方を含む」とあれば出せます。
厳しくない側には、これだけ根拠があります。では、厳しい側はどこか? 書類です。
書類で落としていた3つと、直し方
第二新卒の書類を落とすとき、在籍月数で手が止まったことはない。落としていたのは、この3つでした。
- 辞めた理由が書いていない — いちばん多い。読む側は想像で埋める。想像は悪いほうに寄る
- 辞める前に動いた形跡が無い — 相談した、異動を希望した、やり方を変えた。どれも無いと「うちでも同じことが起きたら辞める」と読まれる
- 職務内容が役職名だけ — 「営業部 配属」で終わっている。半年でも、触ったものはある
3つとも、書き方の問題です。在籍が10か月でも、埋まっていれば通していました。3年いても、埋まっていなければ落ちます。直す順番と職種別の書き方は【落としていた3つ】第二新卒の書類が通らない理由に全部書きました。
あなたの書類は、3つのどれに当たっていますか? 自分では見えにくい。書いた本人には、書いていないことが見えないからです。
同じ書類でも、届き方で通過率が違った
書き直す前に、もう1つ。同じ人の書類でも、届き方で結果が変わっていました。
エージェント経由の応募には、推薦文が付いてきます。「短期離職の理由はこうで、こういう点でこの枠に合う」と書いてある。読む側が、想像で埋める必要がなくなる。上の3つのうち、1つめと2つめを推薦文が先に埋めてくれる形です。
僕はエージェント経由で1人採るたびに、60万〜100万円の手数料を払っていました。その金額を払う代わりに、会社は事前に選別された応募を受け取っている。だから、自社応募より通過率は高くなる。
求職者側は無料。なぜでしょうか? 理由は法律にあります。
書類が6〜7社に1社しか通らないなら、1社登録して、いまの枠を聞いてみる価値はあります。転職が決まって初めて報酬が出る構造なので、急かしてくることはある。合わなければ断って構いません。断り方の例文は【例文5つ】就活エージェントの断り方にあります。
面接まで行けば、短期離職はそこまで効かない
書類を抜けたあと、短期離職はどれくらい効くのでしょうか? 答えは「そこまで効かない」です。
面接で退職理由を聞くとき、採る側が確かめていたのは1つだけでした。同じことがうちで起きたとき、この人はどうするか。過去を責めたいわけではない。
聞かれること自体は、避けられない。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、本籍や家族の職業など本人に責任のない事項を把握することを、就職差別につながるおそれがあるとしています。退職理由・在籍期間・職務内容は、適性・能力に関わる事項なので聞かれます。隠すより、答え方を用意しておく。
反省だけで終わると弱い。「次はこうする」まで言えると、短期離職は学習した経験として読まれます。面接まで来た時点で、在籍月数は読み流されている。話す中身で決まる。
出す社数と、動く時期
何社出せば足りるのでしょうか? 通過率15%前後なら、6〜7社で1社。3社出して全滅しても、まだ母数の内側。20社出して全滅なら、書き方を疑ってください。
書類の直しは、落ちてみないと分からない
第三者に読んでもらうと、5分で分かる
同じ会社に、書類は出し直せない
推薦文が付くと、同じ書類の読まれ方が変わる
時期も選べます。中途の求人が増えるのは1〜3月、9〜10月、6〜7月でした。4月入社に向けた1〜3月が、第二新卒枠はいちばん厚い。9〜10月に3社出して書類を直し、年明けの1〜3月を本命にする組み方もできます。
いつまでに動くべきか? 社会人経験が3年を超えると、要件が実績に変わります。職種を変えたいなら、3年より手前で動くほうが未経験可の求人が多い。同じ職種で環境だけ変えるなら、急がなくていい。
在職中の応募のほうが、書類は通りやすい。空白期間が生まれないからです。体調に問題がなければ、辞める前に動いてください。
よくある質問
- 第二新卒の転職は本当に厳しいですか
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厳しいのは書類です。僕が見ている中途採用の書類通過率は15%前後で、6〜7社出して1社通る計算でした。面接まで行けば、短期離職そのものはそこまで効きません。
- 第二新卒の転職が厳しいと感じるのは、何社落ちてからですか
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5社では判断できません。通過率15%前後なら、5社全滅は母数の内側です。20社出して全部落ちているなら、退職理由・動いた形跡・職務内容のどれかが書けていません。
- 年齢が高いと第二新卒の転職は厳しいですか
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労働施策総合推進法9条で、募集・採用の年齢制限は原則禁止です。僕の会社で見ていたのは社会人経験の年数で、3年を超えると要件がポテンシャルから実績に変わります。
- 短期離職を書かずに応募したほうが通りますか
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書いてください。空白期間のほうが強く引っかかります。前職で雇用保険に入っていれば、次の会社の資格取得届に被保険者番号を書くので、過去に働いていたことは分かります(雇用保険法施行規則6条1項)。
