「第二新卒っていつまで?」。調べると3年以内、25歳まで、いや28歳まで、と数字がばらばらに出てきます。どれが正しいのでしょうか。
答えを先に書きます。全部正しくて、全部間違いです。法律に第二新卒の定義はありません。線を引いているのは、求人を出している各社です。
僕はいまも人を採る側にいます。経営者として8年、採用の最終決裁をしてきました。その前に事業会社で採用担当を2年。求人票を書いて、応募資格の欄に何を書くかを決める側です。約500人を書類から最終面接まで見ています。
その立場から、誰がどうやって線を引いているのかを書きます。
※ 法令は e-Gov 法令検索と厚生労働省の公表資料を2026年9月11日に確認しました。実務の記述は僕が担当した企業のものです。
法律に「第二新卒」という言葉は無い
まず確認したこと。労働関係の法令に「第二新卒」という語は出てきません。採用に関する法律を検索しても、定義はどこにもありません。
法律が定義しているのは、別の言葉です。
| 言葉 | 根拠 | 中身 |
|---|---|---|
| 新規学卒者 | 職業安定法など | その年度に学校を卒業する(した)人 |
| 既卒者 | 厚生労働省の指針 | 卒業したが就職していない人 |
| 第二新卒 | 根拠なし | 採用市場で使われている呼び名。定義は各社が決める |
だから「第二新卒は何歳まで」という問いに、公式の答えはありません。求人票を1件ずつ読むしかない。これが実務の答えです。
求人票のどこに線が書いてあるか
書いていた側から言うと、線は応募資格の欄にあります。ここ以外に書きようがない。書き方は3通りでした。
- 年数で書く — 「社会人経験1〜3年程度の方」「卒業後3年以内の方」
- 状態で書く — 「社会人経験をお持ちの方(年数不問)」「業界未経験可」
- 何も書かない — 応募資格が「学歴不問」だけ。この場合は実質制限なし
1つめが「第二新卒」の正体です。会社が3年と書けば3年、1年と書けば1年になります。同じ人が、A社では第二新卒でB社では中途になる。
では、なぜ年齢ではなく年数で書くのか。年齢で絞ることに、法律の制限があるからです。
年齢で落とすのは、原則として法違反
ここは条文で確認しました。
例外は厚生労働省令で6つ定められていて、そのうち第二新卒に関わるのが3号イです。長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者を期間の定めのない労働契約で募集する場合。
ただし、この3号イには条件があります。「対象者の職業経験について不問とすること」。つまり、年齢を絞りたいなら、経験を問うてはいけない。
だから求人票はこうなります。年齢で絞りたい会社は「未経験歓迎」と書く。経験で絞りたい会社は年齢を書かず「社会人経験3年以上」と書く。両方を同時に書くことはできません。
この構造を知っていると、求人票の読み方が変わります。「未経験歓迎」は優しさで書かれているとは限りません。年齢を絞るための条件だったことがあります。
例外の6つを、実際に見ておく
年齢制限が認められる例外は、厚生労働省令で6つに限られています。第二新卒として応募するとき、どの例外に当たる求人なのかが分かると、書類の書き方が変わります。
| 例外 | どんな求人か | 応募する側から見ると |
|---|---|---|
| 1号 | 定年年齢を上限として、期間の定めのない契約で募集する | 上限は定年まで。実質、制限なし |
| 2号 | 労働基準法などで年齢制限が定められている業務 | 危険有害業務など。限られる |
| 3号イ | 長期勤続によるキャリア形成のため、若年者を期間の定めのない契約で募集する | 職業経験を不問にすることが条件。第二新卒の求人はここが多い |
| 3号ロ | 技能の継承のため、特定の年齢層が少ない職種で募集する | 職人系に多い |
| 3号ハ | 芸術・芸能の表現の真実性のため | 俳優など |
| 3号ニ | 就職氷河期世代など、特定年齢層の雇用促進 | 国の施策に基づく募集 |
注目してほしいのは3号イです。「職業経験について不問とすること」が条件になっています。
だから、年齢を書いている求人は経験を問えません。逆に、経験年数を書いている求人は年齢で切れない。求人票を読むとき、この2つは同時に成立しないと覚えておくと早い。
「35歳以下・実務経験3年以上」のような求人を見かけたら、それは例外に当てはまらない可能性があります。労働局に相談できます。
卒業後3年以内なら、新卒枠も残っている
第二新卒とは別に、もう1つ枠があります。既卒の新卒枠応募です。
ここも「努めること」です。義務ではありません。受け付ける会社と受け付けない会社の両方があります。僕の会社は中途枠に回しています。
確かめ方は簡単です。新卒採用ページの応募資格を読むだけ。
- 「◯年3月卒業見込みの方」だけ — 既卒は対象外
- 「卒業後3年以内の方を含む」 — 既卒も応募できる
在職中でも卒業3年以内なら、新卒枠を受け付けている会社には出せます。3か月で辞めた場合の動き方は【3か月で辞めた人の行き先】新卒の早期離職にまとめています。第二新卒と新卒枠の両方を並行して見るほうが、選択肢は広がります。
採用側は、実際にどこで線を引いていたか
制度の話をしてきましたが、実務の感覚も書いておきます。僕の会社では、こう分けています。
| 社会人経験 | 扱い | 見ていたこと |
|---|---|---|
| 1年未満 | 第二新卒枠 | 退職理由と、辞める前に何をしたか |
| 1〜3年 | 第二新卒枠 | 退職理由に加えて、その期間に何を身につけたか |
| 3年以上 | 中途(経験者)枠 | 実績。前職で何を動かしたか |
境目は3年でした。きれいに分かれます。3年を超えると、要件が「ポテンシャル」から「実績」に変わります。その実績をどう書くかは【落としていた3つ】第二新卒の書類が通らない理由に書きました。ここが第二新卒でいられる実質的な期限だったと思います。
年齢そのものは、書類では見ていませんでした。見ていたのは卒業年と、社会人としての在籍年数です。大学院を出ていれば、同じ社会人1年目でも年齢は2つ上になります。そこで差はつけていません。
いつ動くかで、使える枠が変わる
まとめると、時間の経過でこう変わります。
第二新卒枠と、既卒の新卒枠の両方が使える。いちばん選択肢が多い
第二新卒枠の中でも、ポテンシャル採用として見られやすい
経験者枠。実績を求められる。未経験の職種へは移りにくくなる
つまり、職種を変えたいなら早いほうが有利です。3年を超えると、未経験可の求人そのものが減ります。
逆に、同じ職種で環境だけ変えたいなら、急ぐ必要はありません。経験が積み上がるほど、要件を満たす求人が増えます。
エージェントを使うなら、断り方も先に知っておく
第二新卒枠を探すとき、エージェントを使う人は多いと思います。推薦文が付くぶん、書類の読まれ方が変わるからです。
ただ、合わないと思ったら断って構いません。求職者から手数料を取ることは、職業安定法で原則できません。払っているのは採用した企業側です。断っても、他社の選考に影響は出ません。
よくある質問
- 第二新卒は何歳までですか
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法律に定義はありません。線を引いているのは年齢ではありません。社会人経験の年数です。求人票の応募資格の欄を読んでください。
- 第二新卒は卒業後3年以内ですか
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そう書いている求人が多いですが、統一されたルールではありません。1年と書く会社も、年数を書かない会社もあります。
- 既卒と第二新卒は何が違いますか
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既卒は卒業後に就職していない人、第二新卒は就職したあと短期間で辞めた人。そう使い分けるのが一般的です。ただし第二新卒に公式の定義はないので、求人票によって扱いが変わります。
- 年齢で落とされることはありますか
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労働施策総合推進法9条で、募集・採用は原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えることとされています。例外は6つで、そのうち若年者を対象にする場合は職業経験を問わないことが条件です。
- 大学院卒だと年齢で不利になりますか
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僕の会社では、卒業年と社会人経験の年数で見ていたので、年齢での差はつけていませんでした。会社によります。
- 在職中でも新卒枠に応募できますか
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卒業後3年以内で、既卒を受け付けている会社なら応募できます。新卒採用ページの応募資格に「卒業後3年以内の方を含む」と書いてあるかを確認してください。
